我が家のフェンスの新緑
4月11日に行われた東京大学入学式で小宮山 宏総長の式辞。
息子が学校でいただいたプリントから、感銘した内容を皆さまにもお伝えしたいと思います。
「草木の声を聞き、鳥の眼を見て、未来人の志を持て!」
現代は不確実な時代であり、過去の成功例や常識が必ず通用しない時代です。社会的には、情報環境の変化などとともに急速に進んでいるグローバル化の波の中、この21世紀を、私たちは、過去の権威に頼ったり、明治時代のように欧米諸国に頼ったりするのではなく、自ら先導していく必要があります。日本には、時代の先頭に立ち、21世紀をリードしていくに適した条件が存在します。それは、日本が多くの問題を抱えた国、いわば「課題先進国」だからこそ、日本の社会で山積みになった問題を解決しようとして、社会的な仕組みが整備され、技術が発達し、人々の意識が変わり、地球環境問題などへの取り組みが進んでいるということです。言い換えれば、過去の成功例や常識からではなく、過去の問題と失敗から学ぶということです。
中略
第一の「草木の声を聞き」というのは、他者を感じる力(sympathy)です。
過去に公害で苦しんだ人や地域を振り返って、その苦しみを理解しようとし、課題が何かを明らかにすること。今を生きる人々にも、これから生まれてくる人々に対しても望ましい社会のあり方を構想していくこと。身近な自然のあり方に目を向け、日常生活をよくしていこうという感受性。こうしたことは、実践を通すことで、他者や世界を感じる力が身につくのです。
第二の「鳥の眼で見て」は、本質を促える力(insight)に通ずるものです。
マクロに、かつ深くものを見て、地球環境の行方を見通した場合に何が重要か。そのために何をすべきか。これから私たちは、一国の論理に閉じこもったり、限られた時代の生活スタイルを前提にした、近視眼的で独りよがりな立場を取るのではなく、鳥瞰的に、広く世界を見渡し、何が大切で本質かを見極める鑑識眼を培わなければなりません。
第三の「未来人の志を持て」は、先頭に立つ勇気(ambition)を意味します。
草木の声に耳を澄まし、広くものを見る目を養ったうえで、先頭に立って意思決定をおこなう、いざとなれば責任を取る、という勇気を持つことです。国や地域を越え、来るべき時代に向けた「未来人」として、人類的、地球的なビジョンを掲げ、グローバルに発信していくことが求められます。これまでの常識や過去の成功例にとらわれすぎないで下さい。
東京大学の新入学生に向けられた式辞ですが、私たち一人ひとりが受け止めていかなければならない現実と未来の構想を感じました。
本日も前向きに行動できるように時間を重ねて生きたいものです。
ご覧いただいている皆さま感謝申し上げます。