「断り方を教えてください」と言われました。
診療受付時刻を過ぎて来院した患者さん対応に。ある医事課長さんから
受付業務においては、知りたいことのひとつではあるかもしれません。
しかし、私は、「断り方」は教えることはできません。と返答しました。
コミュニケーションとして、伝え方を教えることはできるのですが
そもそも論が、私の提案したい医療接遇とは異なるからです。
なぜか
「断る」という姿勢ではなく、この時間にどうしてこの患者さんは来院して受付をしたいのか。ということをまずは、配慮することが私が提案する医療接遇だからです。
つまり、何のために来院したか?
目的です。
痛みや辛さがあるか、あるいは時間の都合なのか
理由があって、今日の診察を希望しているのです。
そのことを、忘れてはいけないのです。
簡単に「今日の診察は終わりました」と伝えて、断るのか。
それとも、相手の状態、立場を配慮するのか。
「断る(できない)」というスタンスから、「できること」を伝えることの重要性を医事課長さんに提案しました。
「申し訳ございません、本日の診察受付は〇時で終了しましたが、時間外診療のご負担がありますが、よろしいでしょうか」
「申し訳ございません、本日の診察受付は終了しましたので、痛みが強いようでしたら、診察できる他院様をご紹介しましょうか」
「明日、朝一で診察はいかがでしょうか」
「本日は診察が終わりましたが、明日ご来院できるようでしたら、直ぐに診察できるように、今、書ける範囲で問診をお書きになりますか」
あなたが患者だったら、どのような対応のクリニックに罹りたいですか。
医療接遇力は、"自分だったらどうして欲しい"という気持を、言葉と行動で伝えることで強化されていきます。
物品を購入する業種では、在庫がなければワクワクしながら待つこともできます。あるいは、他品を検討する余地もあります。
しかし、医療は、痛みや辛さ 負の状態を改善、解決するという役割です。
それが、医療接遇の難しさでもあります。
「断る」のではなく、「この患者さんの希望に少しでも応えてあげよう」
その在り方が、患者さんの心の苦痛を緩和することはできるのです。
それが、医療安全にもつながっています。
ヒントになれば幸いです!