虫歯治療後に2歳児死亡のニュースから

虫歯治療後に2歳児死亡のニュースから

弊社でも小児歯科を専門に経営しているクリニックが2件あります。
そこで、私が医療接遇コンサルティングを行う上で提案していることも含め
このニュースに、医療接遇に特化してきた者として、大きく3つの要因があったと考えます。

1.医療技術、医療知識の認識
2.患者(保護者)との関係性
3.院内のチーム連携

1.医療技術・知識は、プロとしてもちろん熟知して置くことは、当然です。しかし、通常業務に追われていると、勉強会を頻繁に行えているかは、実際、月1回実施している医療機関は数パーセントでしょう。

コンサルティングで話していることですが、「医療現場は緊急性があります、その時は挨拶だとか笑顔だとかは二の次であって、皆さん(医療者)が優先すべきことは安心安全な医療ですね。」
接遇はその医療を提供するためにあるともいえます。

2.患者との関係性
小児医療では、小児よりも保護者との関係構築が必要です。
子供の訴えを伝えるのは親です。
しかし、痛みや辛さを伴う病気では、親の在り方や捉え方が様々で
子供に対して厳しい親だと「そのくらい、我慢しなさい」と言うし、子供が可哀そうだと思う親だと「過剰なほどに、訴えてくる」

小児科、小児歯科のクライアント先では、問診やアナムネでは、「状態情報は客観的に、保護者への対応は心労に対する共感を」と患者以上に親との関係性構築に意識を高めるように伝えています。

3.院内のチーム連携
今回の事件で、最も改善すべき点は、院内の連携力にあったと考えます。
なぜなら、院長1人で診察をしているクリニックの場合、患者の状態や親の要求度はある程度把握しています。
この症例では、抜歯に至るまで数回の通院はしていたでしょう。
しかし、今回は担当女性医師の診療で、状態がおかしいと院長に伝えたとありますが、医療現場は担当医師が中心となり、詳細な情報の共有はされていなかったのではないかと察します。

私は、クライアント先では、情報が共有されていないと判断した場合には、リスク回避を目的にケースカンファレンスの時間確保を提案しています。

しかし、よくあるのが、「時間が取れないんです」と。言われることが多いので、下記のような会話を院長先生としています。

「時間を決めてやる、ではなくていいのではないでしょか。例えば、午前診療後でも、午後診療後でも、その日に診察した1例を担当医師や看護師、歯科衛生士あるいは受付スタッフから症状や患者ニーズなどを『5分間共有』とでも銘打って、1回でも実施することから始めてみることが大事だと思います。全員が揃わないからとか、面倒だと思っている時点でもうすでにリスクが発生しているかもしれませんよ。」と

要点は全員参加でなくても、1回でも実施することです。
できない、ではなく、できるのです。

実施することで、スタッフの患者対応に意識が高まる
担当外スタッフも把握することができる
様々な症例をディスカッションすることで、学びも深まり、医療の質向上に繋がる
本来の目的である医療人としてやるべきことを共有することで、院内の人間関係に功を奏する。
とメリットが多くあります

接遇は、挨拶や身だしなみと言ったことだけではなく、"医療者の身を救うため"にもあります。
あなたのチームでは、あなた自身を守るために、どのような接遇を行っていますか。

あなたらしい最高の医療人になるヒントになれば幸いです!